WAGARAGA Story:デジタルと伝統が交差する場所

① 出会い:デジタルからリアルへ

すべては、画面越しに目に飛び込んできた、ある鮮やかな和柄との出会いから始まりました。

ネットの海で見つけたその意匠に心を奪われ、私は導かれるように「和柄の絵師」成願義夫氏に連絡を取りました。初めてお会いした日、私の前に現れた成願さんは、真っ赤なスポーツカーを颯爽と操る方でした。

「着物デザイナー」という言葉から抱いていた固定観念は、良い意味で裏切られました。対面して交わした会話は、デザインの知識に留まらず、伝統をいかに現代の商品へと展開するかという、尽きることのないアイデアの宝庫。和柄が持つ歴史的背景から、これからの時代のクリエイションまで。情熱的な対話に、時間はあっという間に過ぎ去っていきました。


② 共創:滋賀の仕事場での対話

成願さんのアトリエは、琵琶湖を望む滋賀の閑静な地にありました。周囲には古い寺社仏閣が点在する歴史ある場所。しかし、そこに佇んでいたのは和風の建築ではなく、洗練されたお洒落な洋館でした。

一歩足を踏み入れた仕事場は、凛とした空気で整えられ、大きなテーブルの上には制作途中の「藤の花」が描かれていました。繊細な紫のグラデーションに、一筆ずつ施される金の装飾。机の端の瓶に立てられた、太さの異なる無数の筆。

「現代に合う和柄を」という私の抽象的な依頼に対し、成願さんは年齢、性別、色彩のトーンまで計算し尽くした、膨大な数の図案を提示してくれました。それぞれの柄に込められた意味を語る成願さんの眼差しには、伝統を背負いながらも、常に未来を見据える鋭さがありました。


③ 現代和柄の定義:古くて新しい

私たちは、古い和柄を否定するつもりはありません。しかし、着物を日常的に着る機会が限られた現代において、和柄もまた「今の暮らし」に寄り添う姿へと進化する必要があります。

伝統的な和柄を踏襲しつつ、現代の洋服やライフスタイルに調和するデザイン。

それが、私たちの辿り着いた答えです。Apple Watchという、ステンレスやチタンでできた無機質でシンプルなデバイス。それ自体は完成された美しさを持っていますが、どこか無味乾燥に感じることもあります。

和柄には、古来より「幸福」「健康」「金運」「高貴」といった、人々の切実な「願い」が込められてきました。殺風景なデジタルデバイスに、願いを込めた華やかな和柄を添えること。それは、単なる装飾ではなく、日常を少しだけ豊かに、そしてハッピーに彩るための「Wagaraga」の使命なのです。


④ 完成への軌跡:試作とこだわり

成願さんの緻密なデザインを、Apple Watchバンドという小さなキャンバスに落とし込む作業は、困難の連続でした。

一番の壁は「再現性」です。一般的な印刷では、成願さんの描く繊細な色使いや奥行きを表現することができませんでした。理想の表現を求めて、特殊な印刷技術を持つ工房を探し歩き、革との相性を何度も検証しました。

  • デザインのミリ単位の修正

  • 発色を極めるための印刷テスト

  • 装着感を損なわない製法の試行錯誤

幾度となくプロトタイプを作り直し、ようやく納得のいく形に辿り着きました。完成した製品を初めて手にした時、そこには最初のイメージを遥かに超える質感とオーラが宿っていました。

「素晴らしいプロダクトに、説明は要らない。見ればわかる。」

そう確信した瞬間でした。このバンドを身に着けることで、あなたの日常に、美しい感動と少しの華やかさが届くことを願っています。